旅を終えて

1200キロ。

夏の終わりから秋にかけて、この道を私は歩いた。



まだ、足が痛いが、帰宅してからも歩くのが習慣になった私は、歩かないと気が済まない日常になっている。

これが習慣の威力だ。


当初、好奇心から始めた遍路だったが、これ程壮大な旅になるとは思ってもみなかった。

遍路は最高の道楽。

これは自身で確かめその意味が良く分かる。

太陽の下で歩き、大自然に癒され、歩く事で心身が健康になり、余計な情報を入れない。

また、困難を克服する達成感や、遍路同士の宿での繋がりや会話、挨拶や接待で励ましてくれる四国の人々。

自身との戦いで成長し、経験する事で見えてくる刺激や新しい世界。

長い歴史の中で遍路を歩いた人々の残像を感じ、今、自分が道の一部となる。

つまり、遍路には人間が欲する感情全てが組み込まれ、味わえる、究極の旅でもある。


もし、この記事を読んで遍路に行きたいと思っている人がいれば、それはそれで良いと思う。

ただ、アドバイスは出来るが、私から行きなさいと言う事はないだろう。

何故なら「行きなさい」と、言われて行ったとしても、自身で何を得たいのかがなければ、途中で挫折するのは目に見えているので、自分で発心しない事にはこの旅を乗り切るのは難しいからである。


それだけきつく過酷な旅。

これは、自分で歩いてみて思った感想だ。


だが、この旅を実際に経験してみると、ここに書いた記事の1000倍得る物があるだろうし、心の悩みやストレスなどは一発で吹っ飛ぶはずだ。

それ程、偉大な旅だし、経験とは今後の大きな財産になる。

本で読んだだけの知識ではなく、自分が動いて得た物は深くあなたの中に浸透して行き、それが魅力となり深みをもたせる。


遍路に行くと、目標達成とは、小さな1歩の積み重ねと言うのが良く理解出来、また、理解出来たからこそ、今後は無理なく目標を達成出来る。

この相乗効果であなたが欲する目標をいくつも達成出来るようになるはずだ。


遍路の途中で言われた言葉で「遍路を歩き通したら出来ない事はなくなるんじゃない?」と言うのがある。

これも、小さな1歩の積み重ねが良く理解出来るから、やろうと思った事は達成するだろう。

また、「心が強くなる」ともよく言われたが、これもやり遂げる力に変換されていく。


私は元々、崇高な目的の為に遍路を廻った訳ではないので、これからも、女性と遊ぶし、夜の街に繰り出すし、色々な事に興味を持ち勉強もして行く。

だが、もっと、もっと、見聞を広め成長して行きたい欲求が強くなったのは確かだ。

遍路に出て、様々な方に刺激を受け、見えてこなかった物が見えて来たので、また新しい道が出来た。


道はある物ではなく、作る物。


四国をまた廻りたいか?と言われれば、YESであろうが、残念ながら私には次行う事が、ごまんとある。


なので、私の中での遍路はこれで卒業としたい。

しかし、自分が70歳、80歳になった時、今回の旅で出会った方の様に元気でいられたら、昔の事を思い出して廻ってみるのも良いかもしれない。

その時は、スーパーおじいちゃんの様に若い人をバンバン追い抜かして・・・


もし、今後、あなたが私と会う機会があるのであれば、この旅の事も、もっと伝えて見たいと思う。

その時は1日では語りつくせないので、覚悟しておいてほしい。


一つ一つの感情を満たして行く事。

いくら人から綺麗事を言われても、自分で経験していない事は何が真実なのか分からない。

お金や女性を求める人生、それはそれで誰もが通る道かもしれない。

私も散々遊んだからこそ、何が自分にとって必要なのか?が、分かるようになって来た。

なので、過去を否定する事もないし、その過去がなければ今に到達はしていない。


そして、誰もが感情のバランスを考えて行くようになる。

そこからが真のスタートになるだろう。



最後になりましたが、ここまで読んで下さり、長い、長い旅にお付き合いしてもらい、ありがとうございました。

そして、遍路の道を作り上げて来た人と、四国で出会った人々に感謝をしたい。

本当にありがとうございました。




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