Day13

宿から1時間位歩いた所に26番札所金剛頂寺がある。

朝一番での山登りはキツイが、ケモノ道を通り抜け山を登って行く。

 

お寺近くに行くまでに既に汗だくになっているので、つくづく遍路道は簡単な道ではないなと思わせる。


朝早い時間にもかかわらず、お寺の駐車場には沢山の参拝者がいたが、顔を真っ赤にし、汗だくになった私を見かけると「歩きですか?ご苦労様です」と多くの方から言われた。

こちらは先程の山登りで息絶え絶えになっているので、「ありがとうございます」と返すのが精一杯であったが、このお寺も例外ではなく、また、階段で上がって行かなければいけない。



夕方の階段もキツイが、朝一番からの階段はもっとキツイ。


金剛頂寺の門では仁王像ではなく大きな草鞋が出迎えてくれた。

 

納経を済ませ住職と話をしていると、どうやらお寺を下った所に空海修行の地、不動岩があるのでそこに行くと良いよとしきりに勧められる。

ルートを確認すると少々遠回りになってしまうが、そこまで勧められたら行かない訳にはいかない。

そこで、急な坂道を下って行くが、クモの巣だらけで、人があまり通っていないような感じの道であった。



膝の痛みは消えているものの、急な段差は気をつけなければいけない。

コケに塗れた岩の段差を一段一段踏みしめ、2キロの道のりをゆっくりと下がって行くと空海修行の地、不動岩に辿り着いた。

 

この岩の上で空海は修業をして瞑想をしていたらしい。

そして、そこから見える景色はこんな感じである。



私みたいな凡人には理解出来ないが、この地で空海は何を思ったのだろうか。

1200年の時の流れを感じる。

と、その時「あっ、こんにちは」と、昨日の宿で一緒だった車お遍路さんの方々が声をかけて来た。

どうやらこの方々も納経所で不動岩を勧められ見に来たようだった。

「良かったら乗って行きませんか?」と気を利かせてもらったが「歩いて行くと決めているので、気を使ってもらい、ありがとうございます」と、お別れをした。



ここ、2,3日どうも気になっている事がある。

歯が腫れているような感じがするのだ。

歯医者は定期健診で必ず行くし、遍路に来る直前にも行って来たので、おかしいなと思いつつも腫れが気になる。

こう言った問題は早めに対処しておかなければ今後の遍路に響いて来るので、アイフォンで近場の歯医者を探す。

やっと見つけた歯医者に事情を説明し、「歩き遍路なので午後2時頃には着きます」と予約をしておいた。

今日はかなり歩こうと思っていたが、宿をまだ決めていなかった事が幸いし、その歯医者の近場にビジネスホテルも予約した。


その後、延々と続く海岸沿いを歩くが、日差しが強くて歩くのが苦痛になって来る。

たまに見かける他の歩き遍路さんもこの日差しには参っているようで、皆気怠そうに歩いていた。


午後2時、予定通り、歯医者近くに来たのだが一向にその場所が分からない。

地図上ではこの場所で間違いはない。

「あれ、ないぞ・・・」と思っていたら、なんと、普通の民家が歯医者になっているではないか・・・

街で暮らしている感覚だと、ビルの中にあったり、店を構えていたりするが、こんなパターン初めてだったので見落としていたらしい。

と、なると、設備とかが不安になる。

受付では土佐弁で応対してくれる気の良い女性がいた。

「遍路大変やきー、遍路中歯が痛くなる人多いきー」などと、大河ドラマばりの土佐弁が聞けたのは嬉しい。

案内をされ診療室に入ると、しっかりとした設備があり安心したが、そこには北斗の拳に出て来るハートばりの体重150キロはありそうな巨漢な先生がいた。

失礼ではあるが、歯医者の先生と言うよりも、格闘家にいそうなタイプである。

「もしかして、この先生に歯をゴリゴリやられるのか?」と、違う意味で不安になったが、その風体からは想像も出来ない、か細いアニメボイスで語りかけて来た。


「疲れが溜まっとるきー」 「腫れとうきー」


などの言葉を聞いている内に心が和んで来る。

どうやら、今までの疲れが歯に来て、腫れているだけらしい。

原因が疲れだったので、治療はせず簡単な薬をもらい、後は疲れを取る事と教えてもらった。

今日は早めに宿に入り、夜もホテル備え付けの食堂で済ませ、早めに寝る事にした。


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