Day15

天気予報では今日は雨。

今までも雨には降られたが、その殆どが小ぶりで合羽まで出す必要はなかった。

しかし、今日の午後からは本格的な雨になりそうだ。

何とか、被害を最小限に収めようと朝5時にホテルを出る。

コンビニでサンドウィッチ2個とおにぎり5個、プロテインゼリーを購入し近くの道の駅で食べる。

そこでは朝市をやっているのか、業者が野菜やら果物やらを次々と運んでいた。

それを見ながら遍路が出来る自由に恵まれた自分は幸運だなとつくづく思う。

定年退職をしたら時間はあるが、健康上の理由だったり、金銭的な問題であったり、周りの理解が得られなかったりする人も多いかもしれない。

それに引き替え私の場合、長期間旅を続けられ、周りの理解や環境にも恵まれている。

感謝。





暫く歩くと高知の太平洋が一面見渡せる海岸線があった。

天気が良ければ最高の景気だっただろう。

しかし、波の高さが半端ではない、4・5メートルはあるのでは?



55号線に沿ったこの海岸線を延々と歩くが、ちらほらと野宿で歩き遍路をしている人を見かける。

一度、野宿している人と話をした事があったが、朝、5時頃から夜中の12時頃まで歩いて、好きな場所で寝るらしい。

宿で泊まる人は、宿泊先の食事時間がある為、最低でも午後5時までには宿に入らないといけないので距離はそこまで延ばせない。

野宿はその点、短期間で距離を延ばせるが、衛生面と疲れが取れないのが難点だ。




この海岸線沿いは、森林の中を通り、海に沿って歩いて行くのだが、天気が良いとこれ以上の景色はあるのか?と言う位綺麗である。

何も遍路をしなくても一度車で訪れても良いだろう。

デートや家族連れ、一人旅、友人などなど。

また、海岸線沿いに土佐くろしお鉄道も通っているので、電車からもこの景気が見渡せる。

高知から奈半利までのプチ旅行も良いかもしれない。


景色を眺めながら歩いていると、善根宿らしきものがあり、お坊さんみたいなおじさんが二人喋っていた。

「お兄ちゃん、休憩して行きなさい」

そこで、お茶を接待してもらい、喋っていたら遍路の話をしてくれた。

どうやら今時の野宿は犯罪も多いらしく、特に若い女性の野宿は大変危険だとの事。

置き引きや、お接待と称して車に連れ込む事件もあるらしい。


「お兄ちゃん野宿は?」

「しません」と答えると、今年は1200年の節目で人が例年より多いので、宿が取れなかった場合困るだろ?と、四国中の野宿が出来る場所が書いてある紙をくれた。

どの道、野宿の用意はしていないのでするつもりはないが、万が一の場合に備えありがたく受け取った。

こう言った善根宿(無料宿泊所)は善意から行われている場所が殆どだ。

これも四国に深く根付いている遍路文化の大切な遺産だろう。


礼を言いそこを立ち去ると、坂本竜馬の妻、おりょうの銅像が立っている場所があった。



こんな場所あったのか?

全国コンサルの時寄りたかったが、場所が分からず断念した所だ。

桂浜にある坂本竜馬の銅像は太平洋を見ているが、おりょうの銅像は高知市の方を向いて手を振っている。

その時、小雨がパラパラと降り出した。

合羽を出す程度ではないので急いで目的地まで目指す。

途中にあるコンビニでエクレアや肉まんなどを補充し、昼前には目的地まで着いてしまった。

さすがに早すぎるので宿には入れないが、宿近くの大型ショッピングモールで休憩をしていると本格的な雨になって来た。

この土砂降りの中歩かなくて助かった・・・間一髪でセーフ。


宿では、東京から今日来たベテラン遍路さんと区切りで歩いている三重のご夫婦がいたが、皆さん土砂降りの中歩いて大変だったらしい。

夕食時、皆で幕末の話で盛り上がり、楽しい一時を過ごせた夜であった。


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