Day22

朝7時、宿を出発。

今日は足摺岬の金剛福寺に行き、打ち戻ってくる40キロ以上の道のりだ。

他の方はもう既に出発していて、最後に宿を出たが、3週間を過ぎ筋肉痛を除けば絶好調である。



足摺に向かう道は風が強く歩くのが大変だが、歩幅全開でガンガン進んで行く。

歩き始めから2時間もすると、宿が一緒だった遍路さん達を全員追い抜いてしまっていた。

「あんた、速すぎだよ」

などと、言われるが余程の道でないと息切れ一つしない。

何だったら、走ってもいけそうな感じである。

    

小さな漁港を過ぎ、海を横切り橋を渡り、山道のアップダウンが続く。

別に鉄人レースをしている訳ではないが、バラエティに富んで面白い。

途中、橋を渡る時は強風が吹いて足を踏ん張らないと海に落ちそうな感じであった。

海に近いからか、山の中も木がバタバタ倒れている。



この足摺に向かう道はベテランお遍路さんであれば往復40キロの道を打ち戻る人が多い、それが出来ない人はコミュニティバスを使って戻るか、足摺岬周辺の宿で1泊するパターンになる。

しかも、今日の天気予報では昼から雨が降る確率が80パーセントンなので、皆さん被害を最小限にする為必死である。

レインコートを着ても普通に歩けるが、サウナスーツを上から羽織っているようなものなので、体力をかなり消耗してしまう。

だから皆、今日早く宿に帰りたいのだ。

私も連日連夜歩き詰めで、更に40キロの道のりだと途中でバテるのは目に見えているので、速度が出るまで何とか頑張るつもりである。

しかし風が強すぎて真っ直ぐに歩けない位、横風に流される。

海を眺めると波も荒くなって来ているようだ。



折角足摺に向かう道なので、ゆっくりとしたいものだが水分も歩きながら補充する。

途中、地元の人から頑張ってと缶コーヒーを頂いたり、バナナを貰ったりした。

この土地に住んでいる人は、遍路さんが往復40キロを歩く事を知っているのかどうかは知らないが物凄く応援をしてくれる。

これって・・・マラソンランナーに旗を振って応援する光景に何か似ている。

そんな気分であった。





この道中、自動販売機にカロリーメイトが売っていたので、それを3つ購入し食べながら歩くと、足摺岬まで2キロの地点に来た。

3時間殆ど休憩せずに歩いて来たので、すでに汗だくで足もパンパンになっている。

足摺岬に近づく度に、今日足摺岬の宿から戻って来た遍路さんとすれ違い「頑張って」や「お気をつけて」の挨拶を交わす。



やっとの思いで足摺岬到着。



金剛福寺で納経をすると、住職から「歩きですか、それはそれはご苦労様です」と、声をかけてもらい、暫しお寺の見学をした。

 

 

金剛福寺は豪華な建物はないが、庭がすごい立派で印象的。

足摺岬は観光地でもあるのでお遍路さんから観光客まで様々だ。

折角ここまで来たので、ミシュラン旅行ガイドブック二つ星の足摺岬を見学して行く。

  

大迫力であった・・・

天気が良ければまた違った感じになるだろうが、風が強く波が荒い足摺岬は半端ではない。

5メートル以上はあろうかと言う波が岩にたたきつける有様は生で見ると別格である。

さすがはミシュラン旅行ガイドブック二つ星。


同じ宿の人も続々と到着し、足摺を見学していたらパラっと雨が降り出して来た。

今から折り返し20キロの道を雨の中歩きたくはない、皆さん同じ気持ちのようだ。

ザックを背負い、腰にベルトをかけ来た道を戻って行く。

小雨が降っては止んで振っては止んでの繰り返しで、いつ本降りになってもおかしくはない天気。

しかし、帰りの道はやたらと長く感じる。

それでも歩き続け午後2時過ぎに宿に到着したら、おかみさんが「バスで帰って来たの?と、真顔で聞いて来た。

「いや、歩いて行ってきましたよ」と言うと、吃驚していた。

よくよく考えて見ればお寺の時間と足摺の見学、1時間を除いたら約40キロを6時間で歩いて来た事になる。

と言う事は時速7キロから6キロで歩いていたのか・・・必死過ぎて全然分からなかったが、道中は休憩もしていないので、そりゃ疲れるはずだ、と、今になって足が痛み出して来た。

しかし、不思議なものである。

遍路を始めた時、40キロを歩くのは想像もつかなかったが、今では殆ど休憩をしなくても40キロは歩けるようになってしまった。

多少は成長出来たようで、少々嬉しくもあった。

今日の夕食時も皆で笑い、明日のルートなどを話し合った。


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