同じ宿に宿泊していた方は昨日の疲れが残っているので、今日は30キロ位歩いた周辺の宿に泊まると言う。
私は連日限界に挑戦する為、今日も40キロ以上歩くつもりだ。
体力をつける為、朝食はどんぶり3杯テンコ盛りを頂く。
歩き遍路をしている人は年配の方であってもごはんをたらふく食べる。
普通のおじいちゃんを想像するのではなく、スーパーおじいちゃんで、とにかく元気で体力がある。
また、皆さん前向き、希望で満ち溢れた人達ばかりなのでプラスのエネルギーがこちらにも流れて来る。
街での生活では中々お目にかかれないが、そんな人達が全国から集まってくるのだ。
支度をし、皆に挨拶を交わし出発する。
私は距離を延ばす為、この方達とはもう2度と会う事はないんだな・・・と、寂しい気持ちもするが、2日目非常に大切な事を教えてもらった。
ありがとうございます。
国道321号線を歩き、山道に入る為県道を行く。
山道は渓谷を歩くので、ここでもエネルギーがどんどん貰える。
大自然のパワーは物凄い物がある。
2時間も言った所にお接待所があり、そこではコーヒーやカップラーメンなどが無料で貰える場所があった。
そこの方にコーヒーをご馳走なり、1日40キロ歩けるのなら、と、今後のルートを教えて貰った。
お礼を言い立ち去るが、この道は歩くだけで気持ちが良い。
遍路道は景色が絶えず変化して行くので刺激的である。
と、その時、遍路で2回目の蛇に遭遇。
シマヘビなので毒はないが、私は蛇に遭遇すると運が急上昇するのでラッキーである。
全世界でも蛇に遭遇するとラッキーだと信じられている。
再生や変化、成長する時、重要な出会い、金運などなど。
考えて見れば、他にも蝶々がやたらと纏わりついて来たりしていたので、幸運なる良い気が流れまくっているのは確かだろう。
歩いて行くと、新規のお遍路さんがいて、その方に挨拶し先に行こうとしたら
「あんた、元気だねー」
と、感心されてしまった。
歩く事でもあたりがついてしまったら、勢いが止まらない。
杖を1回突く度にどんどん進んで行けるのが楽しかった。
三原村を抜け中筋川ダムを通り過ぎ宿毛市に入る。
高知最後の札所、39番延光寺が見えて来た。
延光寺で納経を済ませ見学してから、来た道を戻ると、数日前宿が一緒だった遍路さんとばったり会った。
どうやらその方は今日で区切り内終了し、今度は何時来られるのか分からないらしい。
「最後まで行くんだろ?頑張れよ!」
その一言が心に響き非常に嬉しかった。
明日は菩堤の道場愛媛に入る。
無我夢中で歩き通した旅も気が付けば半分を過ぎていた。
そこから歩き続けると、何と、2日前ドライブインで会ったプロレスラーみたいなお遍路さんが遍路小屋で休憩をしていた。
私を見て吃驚している。
「もう、ここまで来たの?えっ、今日はどこから?」
42キロ歩いて来た事を話すと「この時間にここまで来たのなら、明日は宇和島まで行けるよ」などと話して来た。
その他にもお勧めの食堂やお得情報など満載で、聞けばその方10回も歩き遍路をしている先達さんであった。
お礼を言い別れるが、今日予約した宿の場所が今一分からずスマホで検索していると、地元のおじさんが「どこに泊まるの?」と聞いて来たので場所を伝えると「あんな所、やめな」と言って来るではないか・・・
「いや、他は満室だったので」と話すと、親切に教えてくれた。
ホテルに着くと、その意味が分かった。
昭和の香り満載のホテルでボロボロなのである。
しかし、案外部屋は小奇麗でウォシュレットも完備しているので外見を覗けば普通のビジネスホテルと何ら変わりがない。
おまけにマッサージチェアも置いてあったので、シャワーを浴びてから足をマッサージした。
今日は42キロの道のりを7時間で歩いて来たので足が腫れまくっている。
マッサージする機械が足を揉む度激痛が走るが、ビールのうまさがそれを和らいでくれた。
午後5時になり、食事をする為お店を探すが、1軒だけ営業している居酒屋さんを見つけ入った。
高知県最後の夜である。
かつおのたたきを食べたいので居酒屋さんに入ったのだが、何と品切れらしい・・・
仕方なく旅館や民宿では食べられない物を10品ほど注文し生ビールを頼む。
お店の主人や若女将と楽しく会話をしていると、お客さんが喋りかけて来たので、話を聞くと、どうやらお店を経営していて殆ど休みがないと・・・そして唯一の楽しみが、3か月に1回のゴルフだと言う。
しかし、それに満足していて自由に遍路をしている人を否定するような発言をして来た。
あ~・・・良くいるパターンの人だ。
自分の立ち位置を正当化したい為、価値観を押し付けて来る。
場が嫌な雰囲気になってもしょうがないので、ビールを奢ったら態度がコロッと変わり、その場が一気に明るくなった。
「大変でしょうが応援しています、頑張って下さい!」
人は現金なものである。
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