このお寺では朝、護摩焚きがあり、宿に泊まっている人は参加していた。
小さな部屋に案内され入ると、全員白人でヨーロッパ系の方々ばかりである。
英語とは違う言語がボンボン飛び交っていた。
護摩焚きが始まると皆さん真剣な顔でそれを見つめている。
薪木を一つずつ重ね合わせ、油を入れると火は大きくなり天井まで届きそうな勢いであった。
その時、お坊さんが一人ずつ焼香をして下さいと合図をする。
前の方から順番に行って行くが、その焼香の仕方がバラバラで驚いてしまった。
高野山に来る位なので、それ位は知っているだろうと思っていたのだが、いきなり、胡坐をかいて両手を高く突き上げ、神様にひれ伏すように「ハ、ハァー」と掛け声をあげる。
それを最初に白人の方がやってしまったので、後に続く人もそのやり方が正しいのだろうと、同じ事を繰り返していた。
4・5人そのやり方で行った後、「いやいや違うだろ」と、違うグループの白人の方が今度は抹香を撮み投げ出した。
後に続く人もそのやり方を真似する。
お坊さんがそれを見兼ねたのか、正しいやり方を自分で行い見せていた。
私でも知らない事柄があったら、前の人のやり方を真似すると思うので致し方ないだろう。
朝のお勤めが終わり、食事をして金剛峰寺に立ち寄る。
ここで、納経をすれば全部の行程が終了する。
そして最後の収め札を収めた。
折角来たので金剛峰寺の中を見学して行き、中の休憩所でお茶をお接待してもらうが、聞く所によると忙しさは半端ないらしい。
高野山に来た人は殆どが奥の院と金剛峰寺には立ち寄るのでかなり大変だろう。
しかし、高野山は広い、ゆっくり見学しようと思ったら1日では足りない。
その後、宝物館を見学し大門を見に行き石道に向かった。
石道入り口から慈尊院まで歩くと20キロと書いてあるので、一瞬行こうかな?とも考えたが今日中には帰宅する予定を組んでいたのでバスで高野山駅へ向かいそこからケーブルカーで極楽橋に向かった。
電車で大阪の難波までは1時間位だが、歩く1時間と電車の1時間は時間の流れが非常に違い、電車の方が物凄く長く感じる。
難波に着くと懐かしい街の匂いがして来た。
あの四国を歩いていた夢のような時間は何だったのであろうか。
夢から現実、現実から夢、それが合わさった時、本当の時間が流れるのかもしれない。
帰路の電車の中では今までの事を思い浮かべ感謝しながら少しだけ眠る。
明日からは今までの経験を生かしもっと飛躍して行くと強く決心をした。
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