Day9

毎度の事だが、足が凄い筋肉痛になっている。

プロテインをガンガン飲んでいても足を休ませる日がないので致し方ない。

起き抜けにストレッチし足を伸ばすが、ビビビっと筋肉の筋が張り裂けそうな感覚がする。


今日は徳島県最後の札所、薬王寺まで歩く予定。

楽しみは何と言っても、やっと海沿いを歩ける事、これでまた、違った気分になるだろう。


朝から気持ちの良い竹林を抜け山道に入るが、至る所に不法投棄の案山子が立っていた。

徳島では交通案内やこう言った表示をする時に「同行二人」の遍路案山子が立っている場合が多い。

 

つまり、ゴミを捨てると心も捨てると言う事であろう。

そう言えば昨日一緒の宿になったおじさんは、マムシが出たと散々騒いでいたが、この山を登る途中、本当にマムシに出会った。

私の場合、蛇を見ると運が良くなるので反対にありがたい事である。

遍路さんの話によると蛇は自分よりも長い物に飛びつかないので、杖を見た瞬間逃げ出してしまうらしい。

金剛杖はその役割を補っているとも言っていた。

勿論、草むらで蛇を踏んでしまったりしたら噛まれるかもしれないが、それ以外ではそこまで怖がる事はない。



この山道を2時間位歩いた所でやっと海が見えて来た。

今まで山ばかりだったので非常に新鮮である。

 

海沿いをそのまま歩いていると、流石は四国、サーフィンに来ているギャル男やギャルも遍路をしている私を見つけ、「お気をつけて」などと挨拶をして来る。

本当に四国文化は凄い。


しかし、海沿いは平坦な道なので、思ったよりも歩ける。

今までの難所で足が鍛えられたのかもしれないが、恐らく時速6キロ位は出ているはずだ。


宝くじで建てられた遍路小屋の存在がありがたく、1時間に1か所の割合で休憩が出来るので、海を見ながら非常食用のカロリーメイトを食した。

海を見てみるとカモの親子が揃って海に入って行く姿が可愛らしい。

そうやって親から大切な事を教わっているんだろう。





ウミガメで有名な産卵地を通り過ぎ歩いていると、道を間違えた事に気が付き、慌てて引き返す羽目になった。

そこで歩き遍路さんに出会うが、その方は大学生でバイトの貯めたお金で区切り遍路をしている方だった。

大学生ならば車や遊びにお金を使うと思うが、くだらない遊びよりも今しか出来ない経験にお金を使いたいと言う。

大学生でこの経験が出来るのは、今後の財産として非常に大きい事だろう。

また、経験がより一層魅力を作り、将来モテモテになるのは目に見えている。



23番の薬師寺に着いたのが午後3時、やっと見つけたお店でサンドウィッチを購入し食べる事にする。

 

昼は非常食のカロリーメイトしか食べていないので、食べられる内に食べて体力を温存。



大正の匂いのする料理旅館に着き、宿のおばあちゃんに風呂を勧められ入るが、部屋に戻ったら窓が全開に開いていた。

そのおばあちゃんは、風が気持ちいいのでと、気を利かせて開けてくれたらしいが、窓の外には大量のすずめ蜂がブンブンしている。

「・・・おばあちゃん、俺を殺す気か!」と、速攻で窓を閉めた。

と、その時、隣の部屋に聞き覚えのある声がしたので、部屋を出ると鶴林寺で会ったおじさんがいた。

昨日も宿は一緒であったが、今日も同じらしい。

宿泊客は2人であったので、夕食時飲みながら喋っていると、投資業界(株、不動産)で莫大な財を成した人であった。



その極意は「人と違う事をする、人と同じでは失敗をする」との事だった。

やはりビジネスの本質は同じだなと思う。

その他にも投資の裏話や人生観や為になる話を散々してもらったが、遍路には凄い方が多く、話も刺激的で楽しい。

それは、いくら歳を重ねても前向きで、チャレンジ精神を持っているからだろうし、人に与えるエネルギーが高いからだろう。

やはり、自身がどれだけのエネルギーを秘めているか?自身が何を経験したかで、同じ内容を喋ったとしても、会話は面白くもつまらなくもなると思う。

人対人の会話はエネルギーが伝染するので、絶対にテンプレやテクニックなどではない。

その人自身から溢れ出るエネルギーが会話となる。

これは本質だ。


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